ハイライト
App Store の価格体系は 2023 年 3 月に史上最大のアップデートを迎えました。価格ポイントは 100 未満から 900 へ拡大し、175 の地域のいずれかを基準に世界価格を自動生成できるようになり、一時価格とカスタム価格という 2 つの地域別管理方法も追加されました。
主要内容
2023 年 3 月以前、App Store での価格管理は面倒でした。App Store は 175 の地域と 44 通貨をカバーし、各地域には異なる税率があります。価格を調整するたびに各地域で手動計算するか、限られた価格帯を受け入れるしかありませんでした。
Apple は 2023 年 3 月、App Store 誕生以来最大規模の価格システムアップグレードを発表しました。この更新は 3 つの核心的な問題を解決します。価格ポイントが少なすぎること、グローバル価格設定が柔軟でないこと、地域ごとの細かい管理ができないことです。
価格ポイントが 100 未満から 900 へ拡大
以前の価格帯は非常に限られていました。$0.99、$1.99、$2.99 のように増えていくだけです。多くの開発者は自分のビジネスモデルに合わない価格ポイントがあると感じていましたが、選択肢がありませんでした。
価格ポイントは 900 まで拡大されました。デフォルトで 800 が利用可能で、より高い価格が必要な場合は追加の 100 高価格帯ポイントを申請できます。これらの価格ポイントは 44 通貨すべてに適用されます(01:30)。
基準地域 + 自動グローバル価格均衡
以前の価格設定は米国をデフォルト基準とし、他地域は自動換算されていました。日本市場を基準に価格設定したい場合、それはできませんでした。
今は 175 の地域から任意の 1 つを「基準地域(base region)」として選べます。App Store は基準地域の価格に為替レートと現地税率を組み合わせ、残り 174 地域の等価価格を自動生成します(02:14)。
例えば、米国を基準地域に選び、基本価格を $7.99 に設定します。App Store は残り 174 地域の価格を自動計算します。英国市場で生成される価格は £7.99 になるかもしれません。英国は .99 終わりの価格慣習に従います。
為替レートが変動すると、App Store は基準価格との整合性を保つため他地域の価格を自動調整します。ポンドがドルに対して下落すれば、英国の価格は自動的に引き上げられます。ただし基準地域の価格は自動調整されません。それがアンカーです(03:28)。
自動調整はすべて App Store Connect に少なくとも 14 日前に表示され、十分な審査時間が確保されます(07:09)。
3 つの価格変更タイプ:グローバル、一時、カスタム
初期価格設定に加え、3 種類の価格変更をスケジュールできます(07:53):
グローバル価格変更(Global Price Change):基準価格を変更すると、他地域が自動的に追随します。全体の値上げや値下げに適しています。例えば基準価格を $7.99 から $9.99 に変更し、2024 年 1 月 1 日に有効にします。
一時価格(Temporary Price):特定地域の特定期間にプロモーション価格を設定します。例えばカナダとフランスで、2 月 1 日から 2 月 3 日まで $4.99 / €4.99 に値下げします。期限後は自動的に元の価格に戻ります(16:06)。
カスタム価格(Custom Price):特定地域に永続的に異なる価格を設定します。例えば米国とアルゼンチンで $9.99 に統一します。ただしカスタム価格を設定すると、App Store はその地域の価格を自動調整しなくなります。為替変動は自分で追跡する必要があります(17:15)。
基準地域にカスタム価格を設定すると、すべての地域の自動調整機能が無効になります。これは重要な設計上の決定です。
詳細
App Store Connect での操作フロー
App Store Connect での価格設定の完全なフローは次のとおりです(04:56):
- サイドバーで「Pricing and Availability」をクリック
- 「Price Schedule」の下で「Add Pricing」をクリック
- 基準地域を選択(例:米国)
- ドロップダウンから価格を選択。デフォルトで 25 の常用価格ポイントが表示され、最下部までスクロールして「See Additional Prices」をクリックすると 900 すべてを確認できます
- 他 174 地域の自動生成価格を確認
- 審査して確定
設定完了後、Price Schedule エリアに「May Adjust Automatically」ラベルが表示され、基準以外の地域の価格が為替や税率の変化で自動調整される可能性があることを示します。
App Store Connect API
価格 API のコアリソースは AppPriceSchedules で、3 つのリレーションシップがあります(08:54):
baseTerritory:基準地域manualPrices:手動設定価格automaticPrices:自動生成価格
完全な価格表を読み取る API 呼び出し順序:
GET /appPriceSchedules/{appId}/baseTerritory
GET /manualPrices
GET /automaticPrices
各 AppPrice は AppPricePoint に、AppPricePoint は地域(Territory)に関連付けられます。AppPricePoint と Territory は読み取り専用の参照データです。
価格変更の設定には POST /appPriceSchedules エンドポイントが必要です。このエンドポイントは既存の価格表を上書きするため、現在の価格と新しい価格の両方を含める必要があります。リクエストボディには次を指定します:
appリレーションシップ:app IDbaseTerritoryリレーションシップ:基準地域 IDmanualPricesリレーションシップ:手動価格リスト
グローバル価格変更をスケジュールする主要ステップ(11:23):
- 基準地域の利用可能なすべての価格ポイントを取得
- 基準価格を選択し、その ID を記録
GET /equalizationsで他地域の等価価格をプレビューPOST /appPriceSchedulesリクエストボディを構築
リクエストボディ構造の例:
{
"data": {
"type": "appPriceSchedules",
"relationships": {
"app": { "data": { "type": "apps", "id": "your-app-id" } },
"baseTerritory": { "data": { "type": "territories", "id": "USA" } },
"manualPrices": {
"data": [
{ "type": "appPrices", "id": "${newprice-0}" },
{ "type": "appPrices", "id": "${newprice-1}" }
]
}
}
},
"included": [
{
"type": "appPrices",
"id": "${newprice-0}",
"relationships": {
"pricePoint": {
"data": { "type": "appPricePoints", "id": "current-price-point-id" }
}
}
},
{
"type": "appPrices",
"id": "${newprice-1}",
"attributes": { "startDate": "2024-01-01" },
"relationships": {
"pricePoint": {
"data": { "type": "appPricePoints", "id": "new-price-point-id" }
}
}
}
]
}
キーポイント:
- 一時 ID(
${newprice-0}など)は${...}構文に従えば任意の値を使用できます - 現在の価格の
startDateが null の場合、価格は即座に有効になります - 将来の価格変更をスケジュールするには、現在の価格の
endDateを新価格のstartDateに設定します - 一時価格は
startDateとendDateを設定してプロモーション期間を定義します - 本番価格への誤操作を避けるため、未公開 app で API をテストすることを推奨します
基準地域変更の注意事項
2023 年 3 月 9 日以前に作成された app とアプリ内課金では、米国がデフォルト基準地域に自動設定されています。基準地域設定を確認し、必要に応じて調整してください(25:02)。
基準地域を変更すると既存の価格表がリセットされます。操作前にすべての価格設定が期待どおりか慎重に審査してください。
旧 API の廃止
App Store Connect API 2.3 で新しい価格 API が導入されました。旧版の価格関連 API は 2023 年末に廃止されます。拡張価格ポイントと高度な価格機能を使うため、できるだけ早く新 API へ移行してください(25:49)。
重要ポイント
この Session で紹介された新しい価格機能に基づき、すぐに着手できる方向性は次のとおりです:
-
自動為替ヘッジ価格の実装:基準地域を最大の収益市場に設定し、App Store に残り 174 地域の為替変動を自動管理させます。外国為替市場を手動監視する必要がなくなります。App Store Connect の Pricing and Availability ページから、主要市場を基準地域として選択してください。
-
特定市場向けの祝日プロモーション:一時価格機能を使い、各地域の祝日期間に短期値下げを設定します。例えば日本のゴールデンウィーク、中国の双十一、アメリカのブラックフライデーにそれぞれ異なるプロモーション価格を設定します。
POST /appPriceSchedulesでstartDateとendDate付きの一時手動価格を設定します。 -
地域別差別化価格戦略:app が市場ごとに異なる競争環境にある場合、カスタム価格で競争の激しい市場に低価格を設定し、成熟市場では基準価格を維持できます。App Store Connect で「Manually manage prices in specific countries or regions」を選択して開始します。
-
価格管理ダッシュボードの構築:新しい App Store Connect API を使い、すべての app のグローバル価格を一括管理する内部ダッシュボードを構築します。
GET /appPriceSchedules、GET /equalizations、POST /appPriceSchedulesの 3 つの API で完全な価格 CRUD 操作が実現できます。 -
定時価格変更の自動化:新 API のグローバル価格変更機能とスクリプトを組み合わせ、毎年固定時期(年末など)にすべての app の価格調整を自動スケジュールします。主要 API は
POST /appPriceSchedulesで、included配列に現在価格と将来価格の両方を渡すことで変更をスケジュールできます。
関連セッション
- What’s new in App Store Connect — テスト、提出、app 管理のツールを含む App Store Connect の最新更新を確認
- What’s new in App Store server APIs — アプリ内課金管理の新エンドポイントを含む App Store サーバー API の最新強化を確認
- Meet StoreKit for SwiftUI — StoreKit で SwiftUI にアプリ内課金を追加する方法を確認。価格設定はアプリ内課金構成の重要な要素
- Explore testing in-app purchases — StoreKit Testing で開発中にアプリ内課金をテストする方法を確認。異なる価格スキームのテストも含む
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